ブランドアイテムの中では宝飾品のカテゴリーに分類されることの多い腕時計ですが、近年はほかのブランドアイテムとは異なる意味合いを持つ品として認識されるようになってきており、まさに「腕時計ワールド」といってもよいくらいの価値観を人々に与えているようです。

腕時計がほかのブランドアイテムとは本質的に異なるのは、製品自体が精密機器であるという点にあります。腕時計の本来の役割は時刻を知らせることであり、現代人が誰しも束縛されている「時間の概念」に密接に関わっていることが特徴ともいえるでしょう。

ブランドアイテムとしての腕時計の人気はまさに隆盛の感がある現代ですが、精密機器としての腕時計の構造と機能を深く知っておくことも、腕時計選びには必要不可欠といえましょう。そこで今回は腕時計に関する基本知識を紹介してみましょう。

腕時計の心臓部「ムーブメント」

時計はよく生物にたとえられることが少なくありません。生物が生きて活動するためには心臓の鼓動が必要です。心臓は生物が生まれて死ぬまで休みなく鼓動し続けています。これと同じように、時計もまた一瞬足りとも休息することなく動き続けています。そして、生物の心臓に相当する時計の部品が「ムーブメント」なのです。

「movement」とは英語で「運動」を意味しているように、時計もまた「ムーブメント」が動力として鼓動し続けることでその機能を果たしています。時計の「心臓部」であるムーブメントは「いかに正確に時刻を刻むことができるか」という時計に与えられた使命のカギを握っており、時計としての品質を左右する最も重要な部品になります。

すなわち、ファッション性を抜きにして、純粋に時計自体の品質を決める場合には、ムーブメントが最も重要な役割を担っているということになるのです。ほかの部品はともかくとして、ムーブメントの品質が悪くては高品質の時計には絶対になりえないのです。

機械式ムーブメントの特徴

ゼンマイが巻き戻る動きを利用して動力としたものが「機械式ムーブメント」で、その歴史は古く中世後期のヨーロッパにまでさかのぼるといわれています。当初は教会などの大時計に用いられていた機械式ムーブメントは、やがて小型化が進み18世紀後半には機械式ムーブメントを搭載した懐中時計が完成し、これが現在の腕時計に継承されています。耳を充てると「チクタク」という機械音が聞こえるのが特徴で、手巻きの機械式腕時計にはゼンマイを巻き上げるための「竜頭(リュウズ)」ボタンがあり、これでゼンマイを常に巻いておかないと止まってしまいます。

機械式ムーブメントが小型化されて以降は、この手巻きタイプが長く主流となっていましたが、巻き忘れで止まるというデメリットを解消するために登場したのが腕の振動で巻き上げる「自動巻きタイプ」です。自動巻きタイプによって機械式ムーブメント時計のマイナス面はかなり解消されました。

機械式は衝撃に弱く修理費用が割高となりますが、取扱いにさえ注意すれば数十年以上も長持ちするので、高価なモデルが子々孫々にまで受け継がれることも珍しくありません。現代でも、クラシックな機械式腕時計のよさが見直されており、有名ブランドの高級モデルは高値で取引きされています。

機械式時計一覧

クオーツ式ムーブメントの特徴

機械式の欠点を解決するための画期的発明として登場したのが「クオーツ式ムーブメント」です。水晶振動子を利用したムーブメントで、その原理は19世紀に発見されていましたが、これを腕時計に搭載し大量生産に成功したのが日本の時計メーカーであるセイコーで1960年代後半のことでした。

そのセイコーが1970年にクオーツ式ムーブメントの特許を開放したことで、世界中の時計メーカーが追随し、腕時計は機械式から一気にクオーツ式へと変容していくこととなりました。これが有名な「クオーツ革命」です。

クオーツ式の長所は「大量生産できるので市販価格が安くなる」「精度が高く衝撃にも強い」「メンテナンスが容易で修理費も安価」などが挙げられます。クオーツ式の登場で機械式のデメリットをほぼ解消したといえます。

クオーツ式ムーブメントの登場によって、一時は機械式が全滅するとまでいわれていたほどでしたが、近年はクオーツのデメリットである「寿命が短い(約10数年)」「貴重性が少ない」という一面がクローズアップされており「機械式時計への回顧現象」が起きています。

クオーツ式時計一覧

新技術を搭載した腕時計

21世紀の新技術を搭載して注目されているのが「ソーラー充電式」の腕時計で、内蔵された小型の太陽電池によって光を電気に変換するという構造を持っています。太陽光だけでなく室内灯でも充電可能で、今後さらに高性能のモデルが開発されれば「電池交換不要の腕時計」として腕時計の主流を占める可能背もあります。また、機械式の自動巻き構造と似た回転ローターを内蔵した「オートクオーツ式」のモデルも腕時計の将来のスタンダードとなる可能性を秘めていると注目されています。

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